『M-1グランプリ2021』の準決勝に進出した25組のお笑い芸人コンビが、11月18日に決定しましたね。
決勝進出への挑戦権を手にした実力コンビの中には、あの“アルピー”こと「アルコ&ピース」の名も。
勢いに乗るアルピーですが、彼らの持ちネタの1つ「忍者」に関して、通常の漫才とは少々テイストがことなっている為、注目を集めているようです。
本記事では、アルコ&ピースの「忍者ネタの誕生秘話」「忍者フォーマットと呼ばれる所以」そして、実際のネタ動画もご用意しましたので、是非最後までお楽しみ頂けたらと思います。
目次
アルコ&ピースの伝説的ネタ「忍者」の誕生秘話。「忍者フォーマット」と呼ばれる所以
2012年の「THE MANZAI」出場がきっかけのようじゃ。
色々と葛藤があったみたいじゃよ。
「忍者」の誕生秘話。引退に追い込まれ「思い切ってぶっ壊してしまおう」
アルコ&ピースの平子祐希さん・酒井健太さんのお二人が、コンビを結成されたのは、2006年4月。
結成当初は、ライブ活動を中心に地道にステップアップを積み重ねてこられ、最近では冠ラジオ番組「アルコ&ピース D.C.GARAGE」をきっかけに、テレビ番組や各メディアへの出演頻度を増やされています。
今でこそ、お笑い芸人として活躍の場を多く持ったアルピーさんにも「鳴かず飛ばずの時代」があったんだって…。引退も考える程だったそうだよ。
その「芸人引退」が頭をよぎっていた頃というのが、2011年~2012年。
日本一の漫才コンビを決定する「THE MANZAI 2011」に出場し決勝へと進出するも、その際の審査員から票数は1票も獲得出来ず「まさかの0票」。
ネタ作り担当の平子さんは、メンタル面もそうですが、既にご家庭があり、お子さんもいらしゃった為、金銭面でも限界を感じていたそうです。
でも、当時の奥さんの説得もあって、もう少し挑戦することになり「THE MANZAI 2012」にリベンジされたそうよっ!
そのリベンジとなった2012年のTHE MANZAIでも、アルコピースは決勝進出を果たすのですが、この時、背水の陣の想いもあってか、平子さんのネタ作りに対する考え方・心境にも変化があったようです。
そのことが分かる平子さんのコメントがこちら。
変則的なネタを作り続けてきたんですけど、考えてみたら中途半端だったんですよね。しかも、これまでやってきた起承転結をつけたようなネタも、去年まったくウケなかった。そこで、思い切ってぶっ壊してしまおうと思ったんですよ。漫才でよくある“○○になりたいから、2人で○○をやってみよう”という入りに、あえて僕が入らないという設定を考えました
https://withnews.jp/article/f0210513004q
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勘の良い方は、お気づきかもしれませんが、平子さんのコメントにある「思い切ってぶっ壊してしまおう」という、勇気ある決断から生まれた新たなるネタの形。
それが「忍者」だったんですね。
- これまでのネタは、中途半端でウケなかった
- 変則的なネタ
- 起承転結を付けたネタ
- 打開策として、これまでのネタの形をぶっ壊した
⇒これまでにない「新しい漫才の形」 - “○○になりたいから、2人で○○をやってみよう”という入りに、あえて平子が入らない
忍者フォーマットっと言われる所以「〇〇やりたいから〇〇やってよ」
新たな発想から生まれたネタ「忍者」が、なぜ「フォーマット」と呼ばれるのか、更に詳しく解説していこうかのっ。
結論から申し上げると、忍者“フォーマット”とあるように、このネタには決まった「型」があるんです。
分かりやすいように、この漫才の冒頭のやり取りを、解説付きで、ご紹介致します。
平子が話すネタは、『THE MANZAI 2012』で披露されたものだ。
https://withnews.jp/article/f0210513004qq000000000000000W0e410501qq000023006A
「オレが忍者やるから平子さん城の門番やって」と話を振る酒井に、苦悶の表情を浮かべながら「じゃあ、お笑いやめろよ」と説教を始める平子。
通常ならそそくさとコントに入る「漫才コント」の定石をくつがえし、「設定に入らず、熱く説教する」というメタ構造で爆笑をとった。
漫才の入りは、酒井さんのコントに誘導するセリフからスタートします。
僕、忍者になって巻物取りに行きたいなと思ってて。
平子さん、城の門番やってよ。
「〇〇やりたいから〇〇やってよ」
はい、鉄板の漫才であれば、この酒井さんの提案に、平子さんが素直に乗っかり、漫才内でのコントが始まる…というのが一般的ですよね。
ですが、「忍者」の平子さんの場合は、険しい表情を浮かべた後、、
・・・じゃあ、お笑いやめろよ。
っと、お客さんの予想を裏切り、平子さんは「マジレス」な対応で、お笑い芸人を辞めて忍者になろうとする、酒井さんを強く説教するんですね。
要は、一般的に世間に認識されている「漫才の流れ」を、故意に壊すことで笑いを誘ったってことだねっ!
- 漫才冒頭は決まった「型(フォーマット)」でスタートする。
- 「〇〇やりたいから〇〇やってよ」というフリ
- あえてフリに乗らず説教を始める
- これまで認知されていた漫才の流れを、故意に壊して笑いを生み出すメカニズム
- コンビの片方がシチュエーションを提示⇒もう片方が乗っかる形で成立する「漫才コント」をぶっ壊した。
また、“アルピー”ファンの間でも「忍者フォーマット」は、すっかりと定着しているようです。
「〇〇やりたいから〇〇やってよ」っていうコント漫才スタイルが存在する限り、忍者フォーマットは絶対にウケるからズルいんだよなぁ
https://twitter.com/lv_fugge/
status/1462404315205681161
酒井「俺忍者やるから、平子さん城の門番やって」
— お笑い走馬灯bot@フォロバ (@soumatoukun) November 20, 2021
平子「じゃあお笑いやめろよ」
──アルコ&ピース『忍者』
次章では、実際にアルピーさんの「忍者」ネタ動画も用意したよっ!
【動画】アルコ&ピース「忍者ネタ」をthe manzaiで披露し満票獲得。ネタバレ注意「忍者の巻物」の正体は…。
「忍者フォーマット」と呼ばれる所以は、理解できたかの?
実際のネタ動画も用意したから、是非見て貰えると嬉しいのう。
【動画】「THE MANZAI 2012」で初披露した忍者ネタ
「THE MANZAI 2012」に出演された際の動画がコチラ。
動画の50秒あたりから、「忍者」ネタはスタートします。
ここでいう「忍者の巻物」の正体も、ネタ最後に明かされていますね。(笑)
動画冒頭では、「ビートたけし」さんからの同大会決勝への、参加招待券を受け取ったアルコ&ピースさんの様子がよくわかる内容となっています。
引退を真剣に考えておられた平子さんは、色々な思いが込上げてきたのか、思わず感極まっておられたのがとても印象的でした。
ちなみに、この時の結果はどうだったのかな?
残念ながら、このTHE MANZAI 2012で優勝されたコンビは、アルコ&ピースでなく、ハマカーンでした。
しかし、同大会内で一番インパクトを残したネタは、アルコ&ピースさんの「忍者」だったという声が多かったのも事実。
その証拠に、このネタを披露したのは決勝ステージの予選の時だったんですが、その際の審査員9人の票は、全てアルコ&ピースに投票され、ぶっちぎりで予選を通過されています。
その時の様子を、平子さんはこのように振り返っておられました。
僕の立ち位置から、審査員全員とナインティナインさん(MC)や、ビートたけしさん(大会最高顧問)がよく見えて、みんな笑っているなと。2011年は緊張して、おぼつかない感じもありましたけど、あのときは時間がゆっくり流れたんですよ
https://withnews.jp/article/f0210513004q
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そして何よりも良かったのは、これをきっかけに芸人の仕事だけで生計を立てられるまでに、テレビ出演が増えたこと。
優勝こそ逃したものの、
・「笑っていいとも!」のレギュラー
・「アルコ&ピースのオールナイトニッポン0」ラジオ番組
といった人気番組にも出演され、起死回生から生まれたネタ「忍者」が、アルピー飛躍のきっかけになったのは、言うまでもありませんね。
決勝の次の日が最後のバイトになりましたね。
https://withnews.jp/article/f0210513004q
『芸人はもう辞めていい』と思っていたはずなのに、続けられることになって嬉しいなと感じたんです。『あ、本当は辞めたくなかったんだな』って
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伝説的ネタ「忍者」の発想・アイディア以外の本当に凄い部分
忍者がこれほどまで長きに渡って、注目されるそ理由を更に分析してみたよっ!
平子さんの思い切った発想から生まれたネタ「忍者」。
実は、「既存の形を壊す」といった発想は、アルピー以外の他の芸人さんでも実践されています。
では、なぜ「忍者」ネタが突出して、長きに渡り通用してきたのか?
「忍者」を生んだ発想・アイディア以外の凄い点をまとめてみました。
- キーワード選定が絶妙。
- 「忍者」「巻物」「城の門番」というワードそのものの強さ
- 同じキーワードのリピートで笑いが増長する
- 流れ・構成の巧さ
- 「軽く提案する酒井」と「本気で受け止める平子」
- あえて設定に入らず熱く説教する
- アルコ&ピースが持つ演技力の高さ
- 演技力高いからこそ、言葉・表情に説得力が付与され、笑いに繋がる
- コントで培った演技力を漫才に活かした
アルコ&ピースの「忍者」には元ネタがあった?!その名は「パイロット」
当時、斬新な発想とアルピーの持つ演技力の高さで注目を集めたネタ「忍者」。
実はこれには、参考にした元ネタがあったそうでなんです。
昨年の「THE MANZAI 2012」で披露され審査員全員の票を集めた伝説の忍者ネタについてお笑いコンビ「アルコ&ピース」が秘話を明かした。もともとあった「パイロット」というネタを進化させて誕生したネタで、これまで「忍者」以外のさまざまな言葉を試したが超えられないといい、ボケ担当の平子祐希さんは「漫才に出てきそうで連呼すると笑える言葉が他にない。一個のジャンルに匹敵するようなネタ。あれで打ち止めかな……」と明かした。忍者ネタは20日発売された2作目DVD「博愛」(コンテンツリーグ、3000円)に収録されている。
「THE MANZAI」では、1回目に忍者ネタを披露して勝ち上がり、3組で争うファイナルラウンドでは忍者ネタのもととなった「パイロット」を披露したが、及ばなかった。酒井健太さんは「いかんせん一回しかできない漫才だった。ネタばれ必至で、バラエティーで使い回せない」と伝説のネタが両刃の剣であることも明かしている。
https://mantan-web.jp/article/20130821dog00m200064000c.html
この元ネタ「パイロット」も、「忍者」の構成と同様に、
「〇〇やりたいから〇〇やってよ」
というフォーマットはもちろん同様で、
酒井:「俺、パイロットになりたいから、平子さん、副操縦士やってよ。」
という提案に、
平子: 「芸人とパイロットの二足のわらじはできない」
とあえてフリに乗っからず、説教していく。。
という流れで展開されていきます。
何で「パイロットフォーマット」じゃなくて「忍者フォーマット」として広がったのかなあ?
それは、「忍者」というキーワードがずば抜けて、観客にウケが良く、パワーワードだったから。
平子さんも、「忍者フォーマット」をベースに、他の色々なキーワードを用いて漫才をやってみたそうですが、「忍者」を超えるキーワードは未だに見つけられていないようです。
漫才に出てきそうで連呼すると笑える言葉が他にない。一個のジャンルに匹敵するようなネタ。あれで打ち止めかな……
また「忍者フォーマット」にも弱点はあるようで、、
いかんせん一回しかできない漫才だった。ネタばれ必至で、バラエティーで使い回せない
確かに、「THE MANZAI 2012」においても、
・決勝予選:「忍者」
・決勝本選:「パイロット」
を披露されており、予選は満票で通過するも優勝は逃されており、
同じフォーマットだと分かってしまうと自然とオチが読めてしまいますね。
せっかく面白いフォーマットを見つけたんだし、オチの部分を改善した進化版も、アルピーさんには期待したいよねっ!
アルコ&ピースの忍者フォーマットに対する「世間の声」
アルコ&ピースの「忍者」ネタに対する世間の声を集めてみました。
贅沢を言うとランジャタイが怒られて欲しいのとアルピーの忍者フォーマットが見たい
https://twitter.com/kaijari_sbks
b/status/1462306576606191621
THE MANZAI2012決勝で披露してからM-1グランプリ2021まで擦り倒してもまだめちゃくちゃなパワーを持っているアルピーの忍者フォーマット
https://twitter.com/allgreen0525/
status/1461796033009266695
ラストイヤー組、残るはアルコ&ピース、ハライチのみとなった。アルコ&ピース、何のネタやったのかわからんが忍者フォーマットで勝ち進んできてたとしたら笑えてくるわ。ハライチはフルモデルチェンジした印象でなかなかいいなと思う。
https://twitter.com/ysyoyogogogo
w/status/1461332024166596610
忍者フォーマットを決勝で見たいなあ
https://twitter.com/hiropyi
/status/1461274592706658306
アルピー準決行っとる 忍者フォーマット強し
https://twitter.com/44756112
155/status/1461231003251666944
アルピー優勝して欲しいけどほんまに忍者フォーマットだけで駆け抜けるつもりか…?
https://twitter.com/G2394376
75/status/1461222534947377153
アルコ&ピースの
https://twitter.com/visselniconik
忍者になって巻物を取りに行こうぜっていうネタ好き
o/status/1461189092125724672
あとアルコ&ピースにはぜひとも決勝で忍者になって巻物取りに行ってほしい
https://twitter.com/tannosuk
eP/status/1461260118209679366
アルコ&ピースは「忍者になって巻物を取りに行きたい」を超えるネタを見せて欲しい。
https://twitter.com/yassan___0412
/status/1461289876146429952
アルピーさんのファンなので、コメ欄の「忍者フォーマット」なる謎用語の意味がわかってしまい笑ってるhttps://t.co/LH3Gy1t8Kb
— かまぼこ/ぎゃまぼこ (@heppocopom) November 9, 2021
アルコ&ピース忍者フォーマットネタの意味・誕生理由 まとめ
- 【誕生の背景】
- これまでのネタは、中途半端でウケなかった
- 変則的なネタ、起承転結を付けたネタ
- 打開策として、これまでのネタの形をぶっ壊した
⇒これまでにない「新しい漫才の形」 - “○○になりたいから、2人で○○をやってみよう”という入りに、あえて平子が入らない
- これまでのネタは、中途半端でウケなかった
- 【忍者フォーマットと呼ばれる所以】
- 漫才冒頭は決まった「型(フォーマット)」でスタートする。
- 「〇〇やりたいから〇〇やってよ」というフリ
- あえてフリに乗らず説教を始める
- これまで認知されていた漫才の流れを、故意に壊して笑いを生み出すメカニズム
- コンビの片方がシチュエーションを提示⇒もう片方が乗っかる形で成立する「漫才コント」をぶっ壊した。
- 漫才冒頭は決まった「型(フォーマット)」でスタートする。
そういえば、アルコ&ピースの代表的ネタでもある「忍者」って、いつ誕生したのかな?